収納家具に集成材が適する5つの理由

木製家具を探していると、「集成材」という言葉を目にする機会があると思います。
集成材と言われても、木材に関して何も知らないという方には、普通の木材とどこが違うのか、そもそもどんなメリットがあるのか、さっぱりわからないと思います。
私自身、木工職人として収納棚やキャビネットなどを製作してきた中で、集成材の持つ安定感や扱いやすさに助けられてきました。
ここでは、木製家具(特に収納家具)に集成材が適している理由を5つ挙げて、わかりやすくお話ししていきます。
無垢材と集成材と合板の違い
そもそも木材とは“無垢材、集成材、合板”と大きくは3種類に分けることができます。
無垢材は一本の木から切り出した素材で、木目の自然な風合いや経年変化を楽しめる反面、湿度変化による反りや割れが起こりやすい特徴があります。
合板は薄い板を何層にも重ねた構造のため薄くても強度が高くコストを抑えたいときに使われることが多いです。
その中間のような立ち位置が“集成材”。
小さな木片を接着して作られているため、無垢材より反りや割れに強く、合板よりも木目の美しさを活かせるというバランスの良い素材です。
無垢材・集成材・合板の違いについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
無垢材・集成材・合板の違いとは?木製家具の選び方をわかりやすく解説
収納家具に求められる木材とは

収納家具は「箱物家具」とも呼ばれ、基本的には四角い箱のように組み立てて、棚や扉などをつけて使う家具のことを指します。
私が運営している家具ショップ「Twigs&Dwarf」でも、主にこの箱物家具を取り扱っています。
収納家具はテーブルや椅子といった家具とは少し違い、求められる木材の特性も変わってきます。
テーブルや椅子の場合、脚部の細い材や構造材に強度が求められますが、収納家具は25cmや30cm以上の幅の広い板材を使って箱を構成するのが基本です。
このため、幅広の板材が湿度や乾燥の変化で反ってしまうと、扉が閉まらなくなったり、引き出しの開け閉めがスムーズにいかなくなるといったトラブルにつながります。
つまり収納家具には、反りや割れが起こりにくい安定した木材が求められるのです。
収納家具に集成材が適する理由

そこで、収納家具には集成材が適していると私は思っています。
理由は主にこの5つがあがります。
・反りや割れが少なく長持ちする
・重いものに耐えられる強度があり、軽量なデザインにも対応できる
・コストパフォーマンスが高い
・加工性が良く、オーダーしやすい
・表面がきれいで仕上げの選択肢が豊富
それでは1つずつ解説します。
1. 反りや割れが少なく長持ちする

集成材は、板状の木材を接着して作られています。
無垢材のように1本の木から切り出した素材ではないため、湿気や乾燥の変化による反りや割れが起こりにくい特徴があります。
収納家具は長い間同じ場所に置かれることが多いので、季節や環境の変化による木材の動きが少ない素材を選ぶことが大切です。
集成材はまさに、安定した家具作りに向いている材料です。
2. 重いものに耐えられる強度があり、軽量なデザインにも対応できる

収納家具では、本や食器など、ずっしりとした重さを支える必要があります。集成材は複数の板を組み合わせることで強度を高めているため、棚板などの荷重がかかる部分に適しています。
さらに、無垢材よりも部材の厚みや組み方を調整しやすいため、強度を確保しながらも軽量に仕上げることが可能です。
結果として、設置や模様替えなど家具を移動させたいときにも便利で扱いやすいという利点があります。
子ども部屋など、成長に合わせて家具を移動する機会が多い場所でも、軽量な集成材の家具は便利に活躍します。
3. コストパフォーマンスが高い

無垢材は木の丸太から削り出すため、材料そのものの価格が高くなる傾向にあります。一方、集成材は木材を有効活用できるため、無垢材に比べて価格を抑えやすいのがメリットです。
収納家具は大きさも必要で、複数設置することも多いため、コストパフォーマンスが高い集成材は現実的な選択肢だと感じています。
「あと少し奥行きが欲しい」「幅を数センチ短くしたい」といった要望に応えやすいのも、価格が抑えられる集成材だからこそ。オーダー家具を検討している方にも選びやすい素材です。
4. 加工性が良く、オーダーしやすい

家によって収納するものの量や大きさ、置き場所はさまざまです。そんなとき、集成材はサイズの調整がしやすく、オーダー家具の素材として重宝されます。
私の工房でも、お客様の希望に合わせて棚の幅や奥行きを数センチ単位で変更することがよくありますが、集成材なら比較的短い納期で柔軟に対応できます。
5. 表面がきれいで仕上げの選択肢が豊富

集成材は仕上げ面が安定していて、塗装やオイル仕上げを施すと、木目がきれいに映えるという特徴もあります。
家具の色味や雰囲気をインテリアに合わせやすく、表面をなめらかに仕上げやすいので、暮らしに馴染む収納家具を作りやすい素材です。
集成材のデメリット・注意点

もちろん、集成材にも注意すべき点はあります。接着剤を使用しているため、化学物質に敏感な方は気になるかもしれませんが、多くの集成材に使われている接着剤はF☆☆☆☆(フォースター)という、ホルムアルデヒド放散量が最も少ない等級を取得しており、安全性が確認されています。
また、無塗装の状態だと継ぎ目部分から水分が染み込み、劣化するリスクもありますが、適切にオイルやワックスを塗ることで染み込みを減らすことも可能です。湿度が高い場所や水気の多い環境では、しっかりと仕上げを施して使うことが大切です。
さらに、木目の自然な動きや経年変化を楽しみたいという方には、無垢材の方が満足度が高い場合もあります。
まとめ
収納家具に使う素材として、集成材はとてもバランスが良い選択肢です。長持ちして強度があり、価格も抑えられる。オーダーメイドにも適していて、暮らしに合わせた家具作りに向いています。
とはいえ、どんな素材にも良し悪しがあります。ぜひ集成材と無垢材の特徴を比較して、ご自身に合う収納家具を選んでみてください。
収納家具をオーダーしたい方はこちらもご覧ください。
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